世界陸連は、キャスター・セメンヤ女子陸上選手の出場資格について、不当な勝利を収めた。
ジェンダーについては超保守的な日本で同じ問題が顕在化したら、この決定に倣うだろうし、高裁も最高裁も倣うだろう。
これが世界の姿だ。人ひとりに公正な裁定を与えられない、愚かな世界だ。
完全な、完成された、良くなったと感じられるような社会や世界は、常に不完全だ。もしあなたがてらいなく「世界はすばらしい」と言えるなら、あなたは何も知らない純真な子供だ。地面の小さな虫を虫めがねで焼いたり、足をもいでそのもがく様子を観察したりするような、無垢ゆえの冷酷さを大人になっても手放さない、未成熟な人の中でもひときわ未成熟な人だ。完全な世界など存在しないこと、自分とは異なる他人が喜怒哀楽を互いに投げ合い押し合う一つの世界に生きていること、それすら知らずに生きて来た。世界の一員として、あまりにも未成熟だ。
独白はここまでにして、“モックガディ”キャスター・セメンヤへの不公正な判断についての記事を一部引用します。
セメンヤは、「体の性のさまざまな発達状態(性分化疾患、DSD)」があるアスリートの出場資格に関するワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)の規則の正当性をめぐって、まずはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立て、この異議が却下されると、今度は南アフリカ陸上連盟(ASA)とともにスイス最高裁に上訴していたが、同裁判所は両者の訴えを退けた。
最高裁は「陸上女子の一部種目の公平性を担保するため、スポーツ仲裁裁判所は『46XY DSD』の遺伝的変異がある女子選手の参加条件を維持する権利を有していた」と判断したことを発表した。
女性として育ち、女子のレースに出場してきたセメンヤだが、ワールドアスレティックスは、400メートルから1マイル(約1600メートル)の種目に参加するDSDの選手に、体内のテストステロン値を人為的に下げることを義務づける規則を導入。セメンヤのようなDSDに伴う特定のサイズと強度の筋肉を持つ女性は生物学上は男性だと位置づけ、南ア関係者の激しい反発を招いていた。
今回の決定を受けても、セメンヤは規則に従わない姿勢を変えておらず、このままでは新型コロナウイルスの影響で2021年に延期になった東京五輪には出場できないおそれがある。
セメンヤは、「今回の裁定には非常に落胆しているが、ワールドアスレティックスが私に薬を盛り、私が私であることをやめさせるのは拒否する」とコメントした。
「その人の自然な能力だけを理由に女子選手を除外し、健康を脅かそうとするワールドアスレティックスは歴史の間違った側に立っている」「誰もが生まれ持った形で自由に走れる日まで、これからもトラックの内外で女子選手の人権のために闘っていく。何が正しいかは自分で分かっているし、各地の少女のためにも、基本的人権を守ることに全力を尽くす」
スイス最高裁がセメンヤの訴え退ける、ホルモン抑える規則を支持
2020年9月9日 9:52 発信地:ローザンヌ/スイス
人類は、数千年経っても、スポーツ大会すらまともに開催できない。
愚かな生物種だなぁ。