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ジェンダー 一日一善日記

先日、女風呂に入りまして

少し前に、友人のFtMたちと3人で温泉街に行きました。

わたしは玉は取ったとは言え、ちんちんはついています。男湯には何度か入ったことがありますが、受付や脱衣所から浴室に至るあらゆる場面で不審がられるのが不快なので、5年以上公衆浴場には入っていません。かと言って女湯に入れば、もし痴漢扱いされた時に法的に危険です。というわけで、今回も温泉は諦めていました。

しかしながら、天然温泉の露天風呂をみすみす諦めるのももったいない話です。同行した友人のFtMの「股をタオルで隠す女の人もいる」という言葉に促され、意を決して女風呂に入ってみることにしました。

「女湯グヘへ」と公に書いてしまう一部の下品なMtFもいますが、わたしの場合は、裸体には性別問わず興味がありません。触れ合いがあるかどうかのみが重要で、触れ合いがないのであれば、他人が服を着ていようがいまいがどうでもいいです。

脱衣所

夕食後、友人2人とともに大浴場の女湯へ行きました。トイレを使う時のように堂々と……。

脱衣所は、コロナ騒ぎの真っ直中にもかかわらず、それなりに人がいました。目線ぐらいの、高さ140cmほどの鍵つきロッカーの島が2列ほどあったので、島の間のロッカーを使うことにしました。壁にもロッカーがありましたが、目立つ場所だったのでやめました。

脱衣所でも、女性であることをアピールするために「(ロッカー)ここでええ? ええか?」などと積極的に声を出しました。「オカマは声が低い」という偏見を逆手に取って怪しまれないようにするテクニックです。逆声変わりという何年もの地味な努力が報われる瞬間です。

ところが、友人2人は声が出せません。友人2人はちんちんのついていない体ですが、男性ホルモンの注射を過去に受けていたため、声が低いのです。脱げばひと目で女性と判断されますが、オカマと思われたらあらぬ疑いをかけられかねないので、下手に会話もできません。

周囲の視線に気をつけながら、順番に細心の注意を払いながら服を脱いでいたその時、鏡に向かってドライヤーをかけている人の顔が見えました

まさしくヒヤリハット!

慌てて反対側を向いて、タオルで下を隠しながら、友人2人といっしょに浴室に入りました。

露天風呂

浴室はガラガラでしたが、2人ほど先客がいたため、そそくさと友人1人の隣に移動して、シャワーを浴びました。もう1人はとてもゆっくり体を洗うので、カラスの行水のわたしたち2人は、わたしが怪しまれないようにと、固まって行動することに決めていました。

シャワーの後は、いよいよ外の露天風呂!

わたしたち2人の他に誰もおらず、快適でした。ぬるめのお湯にゆっくり浸かりました。

とてもよかった!!!

露天風呂を上がろうとすると、先を歩く友人が「内湯もさっき入ったけどよかった」と言い、わたしを内湯に誘いました。せっかくだしと、入ることにしました。

内湯には、50代ぐらいの方が入っていて、わたしたちはうっかりその正面に浸かってしまいました。穴が開くほど凝視されていては、何が目に留まるかわかったものではありませんから、出るに出られません。友人が「先に出る」というようなことを耳打ちして去った少し後で、おばさまが見飽きたタイミングを見計らって、さっとわたしも去りました。

再び脱衣所

脱衣所は、来た時と同じくらいの人がいて、鏡もあって、いつ目ざとく見つけられないか気が気ではありませんでした。

体もろくに拭かずに、とにかく浴衣を先に羽織りました。浴衣は丈が長いので、下半身を隠せます。怪しいだけならいいや!とばかりに、浴衣を巻いてから下着を穿きました。

ゆっくりの友人を残して、わたしたち2人は大浴場をあとにしました。

バレなかったけど

スリリングな体験でした。男湯よりは快適ですが、スリリングなのは嫌ですね。

ところで、なぜあのおばさまはわたしたちをジッと見たのか?

  1. ボーイッシュな人(友人のFtM)といっしょだったから。
  2. マスクをしていなかったから。

なんと、あのおばさまは、お風呂でもマスクをつけていたのでした。何も密ではないのに……。でも、そのような方からしたら、マスクをつけていないわたしたちの方が変なのですから、気になってしまうのも無理はありません。

そんな人たちの組み合わせが、ボーイッシュな子とショートカットのおばさん(わたし)だったら、余計に気になって観察したくなるのも仕方ない気がします。

でも……お風呂でも道端でもどこででも、あまり人をジロジロ見ないでほしいな……。

「先日、女風呂に入りまして」への4件の返信

おばさんは他人を凝視する生き物なので特に理由は無かったのかも知れません。

わざわざコメントありがとうございます。
わたしもそんなところだろうとは思いますが、やはりああいった場所は緊張感が半端ではないので、できればもう入りたくないです。
実際に、前回温泉に友達三人で行った時は露天の家族風呂を使いました。広い露天風呂に入れないのは残念ですが、緊張せずに済むので、いい露天家族風呂がもっとたくさんあればいいのにな、と思います。

女性トイレも女風呂も、入っちゃダメですよ。
二度としないで下さい。

では、いつになればわたしたちはトランスジェンダーでない人と同じ利便性でトイレを使えるようになるんでしょうか?
トランスジェンダーから話は離れますが、身体に障害のある人のトイレやお風呂が健常者と同じ利便性になるのは、いつなんでしょうか?

「社会への不満を訴えて解決を求めるのは悪いことだ」と考える人が、日本には本当に多いですよね?
ベビーカーを抱えてバスに乗ることを強要したり、そのような人を白い目で見たり、非難したりする人が少なくありませんが、非難されるべきはこれらの状態すべてのはずです。

このようなトイレや風呂の問題(トランスジェンダーも身体障害も、問題はこの他にも山ほどあります)が解決しないは、結局のところ、社会への不満を無視し続けたあなたやわたしに責任があるんです。そのためには、まずわたしたち自身が、問題を訴える人々を軽々しく扱うことをやめなくてはいけません。確立されたはずの女性の権利がないがしろにされているのも同じです。

互いに足を引っ張り合うのはもうやめにしませんか?

手を握り合って闘うべき相手は、既存の社会制度と社会通念です。つまり、健常者中心に作られた建物やモノ、トランスジェンダーを想定せずに作られた制度、男性中心に作られた価値観などを作り直さなくてはいけません。
これは簡単な仕事ではありませんが、それでも、誰を敵としてどう闘うべきなのか、考えることをやめず、バラバラであってもともに力を合わせて生きて参りましょう。

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