有期雇用 (1)


有期雇用と持続可能な「労働」

派遣をやり始めてわかった。この働き方、無責任になるわ。ひとつ終われば次、次が終わればそのまた次と、まるでスポーツ選手が選手生命を維持しつつ試合を消化しているような感覚になる。だれが使うどんなシステムかに関係なく作業を割り当てられ、それが終われば現場を去る。わたしの意思は関係ない。

「期間を区切って雇う」という仕組みが「雇われた側を経済的に不安定にする」という面は知られつつある一方で「雇う側の業務を不安定にする」という面はほとんど触れられない。いずれにせよ「マネジメント力がない」と、なぜかマネージャーの責任にされてしまって企業の方針は問われない。

「業務知識が維持されにくい」のは、わかる。論理的には、説明書があればだれがやっても同じ。Facebookアプリも説明書あればだれでも使える。少しややこしい業務だとしても「経験者」の派遣さんを採れば大丈夫、ということになっている。

冒頭の「無責任になる」がこの眉唾ものの理屈を土台から崩す。その説明書を、少しまじめな派遣さんが「派遣としての評価を維持するために」作っているとする。ここで、システムの修正が急に入って説明書を書き直すという事態が数回起きたとする。契約は来週末。無理。さあどうする。

派遣先に言って追い込みに協力してもらうのはあり得る選択肢。そんなバタバタしてるときに?できる?

上記を諦めたか協力が得られなかったら「やれるだけやる」しかない。

未完成の説明書がひとつできましたとさ。

もっと言うと、説明書を作る時間が派遣先が元請けから受注した段階から設けられていないことも少なくない。こうなるとシステムさえ「やれるだけやる」になる。派遣さんが何人か入れ代わるシゴトだと、やれるだけやった派遣さんが急いで引き継ぐので、そのときに漏れが出る。

短期の派遣は遅効性の毒だ。社会全体が頭でっかちになって、効率の鬼になっている。「人生はどう生きたかに価値がある」という言葉をありがたがっているようで、実際は効率的にこなせることが一番いいと思っている。だから派遣さんをAIにしたい。

利益や給料や年金のためにつじつま合わせの効率化(あるいはリストラ≒構造改革)していたら、巡り巡って自分という人間の効率化まで迫られるようになったという、笑えない話。そうでなかったらAI脅威論なんか生まれない。

「自分はもうこれ以上効率よくなれない」って、みんな思ってる。人間は歯車じゃない。わかっていてもやめられないなら、せめて、優しくしようよ、お互いに。