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周到な責任転嫁システム

持続化給付金が企業に丸投げされ、そこから下請けに放流されたという記事を読んだ感想です。

まずは、読んでみてください。引用元が削除されることがあるので、画像を除いて転載します。

[東京 28日 ロイター] – 新型コロナウイルスで打撃を受けた中小企業への支援策として、国内最大の広告代理店、電通(4324.T)が関わる経済産業省の「持続化給付金」の実施を巡り、不透明な業務委託や運営実態に批判が広がっている。電通は今月22日、事態を収拾するため、同省の新規事業は当面受託しないなどの対応策を発表した。しかし、事業の全容が公表される可能性は低く、不透明感の払しょくは難しい情勢だ。

<業務委託は5次下請けまで拡大>

同給付金は総額2兆円を超す予算を投じ、新型コロナの打撃を受けた中小企業の経営を支援することが目的。今年4月に給付業務を受託した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」(サ協、東京・築地)は、電通など3社が2016年に設立した非営利の民間団体だ。同年には経産省から「おもてなし規格認証」事業の運営などを受注、翌年にはIT導入支援補助金事業を請け負った。

今回の給付金事業では、同協議会は受託総額769億円の大半にあたる749億円の事業を電通に再委託し、申請書類の審査からウェブサイトの立ち上げや受付コールセンターの設立まで実際の業務のほとんどを任せた。電通はさらにグループ会社を通じ、業務を数十に上る他の企業に外注した。

経産省によると、業務の委託先は契約額1億円以上の企業だけでも電通を含めて63社ある。このうち社名が公表されているのは14社。残る49社の社名は明らかにされていない。サ協の資料によると、企業の社名や下請け額などが公表されていない外注分は少なくとも約260億円あり、全体の3分の1に達していることがわかった。

同省関係者によると、委託先は少なくとも5次下請けまで広がっており、事業の実施体制は極めて広範囲に細分化されている。

<首相は「ルールにのっとった選考」>

政府はなぜ同補助金の給付業務を電通と結びつきの強いサ協に委託したのか、その業務はどこに外注され、受注資金はどのように使われたのか──不透明な事業の実態に対し、中小企業や野党議員からは疑問の声が挙がっている。

電通は歴史的に自民党とのつながりが深い企業だ。長年、同党の政治活動に協力し、1964年の東京五輪ではPR活動などにも積極的に携わった。電通は近年、スポーツ関連事業に力を入れ、1年延期された2020年東京五輪の招致に向けマーケティングを担当、国内企業から過去最高となる約31億ドルのスポンサー料を集める上で大きな貢献をしている。

同社は2016年5月、人材派遣大手パソナ(2168.T)、ITサービス請負大手トランスコスモス(9715.T)とサ協を設立。理事のうち3人は電通のグループ会社出身で、従業員も数人出向している。

今回の事業でサ協を選定したことについて、政府側は「ルールにのっとったプロセスを経て決定された」(安倍首相の6月の国会答弁)と繰り返す。経産省・中小企業庁の担当者はロイターの取材に対し、委託先は一般競争入札で選定し、総合的に評価したとしている。

経産省によると、入札ではコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーがサ協と受注を争った。このとき、デロイトが経産省側と面談したのは2回、そのうち1回は電話だった。一方、サ協は3回の直接面談を行っており、電通関係者も出席した。経産省は、適切な手続きを踏んだとしている。

デロイトの広報担当者は、この入札手続きについてコメントしなかった。

<ほぼすべての業務を下請けに>

業務に携わっている企業を一部しか公表していないことについて経産省は、日本の情報公開法の下では当該企業に競争上マイナスの影響が想定される場合は開示する必要がない、と説明している。

サ協によると、電通からの最大の外注先はイベント子会社の電通ライブで、約596億円で契約を結んだ。そこからさらに10社以上が業務を受託、うち4社の名前が公表されている。

こうした業務の分散について、電通の広報担当者はロイターにメールで回答し、「不透明という認識は全くない」と明言。「全国各地に申請サポートセンターを設置するなど、1万人以上の体制で業務を推進しなければならない」、「そもそも1社で対応できるようなレベルの公共事業ではないと考えていた」と、複数の企業が関与する必要性を強調した。

同社は6月に行った会見で、自社が元請けにならなかったことについて、サ協にはIT導入支援補助金事業などの業務を受託した実績があるためだと説明。また、給付金の振り込み通知はがきの名義が電通になっていると受け取った側が混乱する可能性がある、との理由もあったという。

さらに電通はロイターに対し、経理部門から「自社のバランスシートに影響に加え、通常の業務が滞る可能性がある」との指摘があったため、自らが主導しないことを決めたとも説明した。

電通とともにサ協に役員を送っているトランスコスモスとパソナはロイターの問い合わせに対し、ともに「当社が回答する立場にない」として、同事業についてのコメントを控えている。

ロイターはサ協に、持続化給付金事業の入札に元請けとして参加した理由を尋ねた。サ協は過去に政府から事業を受託した経験を踏まえ、「当協議会が幹事社となることが適切であると判断した」とメールで回答した。今回の事業のためにスタッフを雇い、銀行を通じて振り込み作業を支援した、という。

サ協のオフィスがあるのは、ペルシャ絨毯の店を1階に構える東京・築地の雑居ビル。社内では数人の従業員が明るい蛍光灯の下でノートパソコンに向かって作業していた。デスクやクローゼットもまばらでガランとしたこの1室が、中小企業支援事業の全体を統括している。経産省の担当者よると、サ協は企業との調整、政府との連絡役をしているという。

<申請殺到、支払い遅延の指摘も>

給付金業務が無数の企業に分散される中、受け手となる中小企業への支払いが遅延しているとの指摘もある。

経産省によると、同給付金制度では1社につき最大200万円が支給されることになっており、5月の申請開始から7月20日時点で290万件の申し込みがあり、これまでに267万件を支給したという。申請書類に不備がなかった場合、申請を受けてから支払いまで、多くの場合およそ2週間だとサ協は説明する。

政府は持続化給付金の手続き業務の経費を、6月に成立した第2次補正予算にも計上した。さらに100万社が申請することを前提にしている。

しかし、東京で企業イベントの映像制作を専門に手掛ける企業を経営する利根川武信さんは、「委託自体を責めるつもりはないが、税金を使ってこのシステムを運営しているのであれば、もっとしっかりと運営すべきだった」と給付金運営を巡る混乱と支払い遅延に手厳しい。

利根川さんの会社では、春に新型コロナの感染が拡大すると仕事のキャンセルが相次いだ。同給付金を申請してから100万円を受け取るまで、4週間かかった。その間、利根川さんはウーバーイーツの配達員として自転車で食事や料理の宅配サービスに従事した。

利根川さんはサ協が運営する給付金のコールセンターには3日間で100回以上電話し、申請状況を問い合わせた。電話に出るのは派遣で働くオペレーターだが、担当者が入れ替わるため、そのたびに事情を初めから説明しなければならない。人生で最もストレスを感じた時期だったと、利根川さんは言う。

<下請け構造がコスト増やすとの批判>

給付金を巡る業者選定や業務運営について違法性を問う声はないものの、テレビ朝日が6月に実施した世論調査では、73%が「事業が適切に行われていると思わない」と回答した。

野党議員らは、下請け構造が事業のコストを引き上げていると批判。その1人、青山雅幸衆議院議員(日本維新の会・無所属の会)は、政府が地方自治体を通じて個人向けに実施する10万円の「特別定額給付金」事業と比較して、申請1件当たり約30倍の経費がかかっていると試算する。

これに対し、経産省は個人向け給付金とは業務の内容が大きく異なり、比較はできないと反論する。同省によると、企業向けの持続化給付金は、審査への申し込みを支援するため、全国に会場を設置、電子申請に慣れていない申請者を個別にサポートするなど、人件費などがかさんで費用が大きくなる、という。

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契約に至る経緯の全容を明らかにするよう求める野党議員の1人、田嶋要衆議院議員(無所属)は「全体として非常にグレーだ」と言い、経産省が説明責任を果たさず、あたかも電通を守っているような誤解を与えてしまう、と付け加えた。

電通は、持続化給付金が迅速に支払われていると主張している。同時に、22日には自社のホームページで、持続化給付金の業務に対する「社会からの指摘」を踏まえ、受託業務の取引方法を見直していると発表。見直しが終わるまで、経産省が実施する新規事業の入札参加は控えるとした。

しかし、これによって同給付金業務を巡る不透明感が払しょくされたとは言い難い。「持続化給付金を巡った不明朗な仕組みが安倍政権に対する批判となり、それが結果的に政権のダメージになっているということは間違いない」と、政治アナリストの伊藤惇夫氏は指摘する。

この事業も含め、政府が打ち出す新型コロナ対策は混乱が目立つとの見方は多く、透明性の欠如が内閣支持率にも影響している。7月20日の共同通信の世論調査によると、新型コロナ対応を評価する声は35.7%と、1カ月前の48.8%から低下した。

<中小企業は「一刻も早く支援を」>

中小企業を救済する給付金業務の運営に批判と釈明が続く中、末端ではコロナショックの荒波に耐えきれず、事業継続を断念する例は後を絶たない。

コロナ禍で経営環境が一変した米澤佳晃さんは、損失がさらに膨らむ前に所有する北海道のホテルを売却することにした。

米澤さんは持続化給付金が振り込まれる前から、その200万円を退職金として従業員約90人に支払うことに決めていた。札幌市にあるそのホテルは、米澤さんの家族が70年近く営んできたものだ。

「中小企業の経営者が本当に望んでいるのは、どんな種類の支援プログラムでも一刻も早く開始することです」と、米澤さんは疲れた声で語った。

東京・神保町に本店があった老舗居酒屋「酔の助」。40年以上の歴史がある同店は、壁に貼られた手書きのおすすめメニューとうまい酒が酔客を誘う人気の赤ちょうちんで、テレビのロケに使われたこともある。

しかし、新型コロナの感染拡大で4月から休業を余儀なくされた。家賃を払う余裕は吹っ飛び、今年5月、苦渋の閉店に追い込まれた。

「従業員を削っていれば、ギリギリでやっていけたかもしれない」と振り返る同店長の一山文明さんの言葉には無念さがにじむ。

酔の助の閉店から数週間後、建物は解体された。跡に残ったのは瓦礫の山だけだった。

斎藤真理、清水律子、Ju-min Park 取材協力:白木真紀、Antoni Slodkowski 編集:北松克朗、久保信博

焦点:「コロナ給付金」見えない下請け実態 電通関与になお不透明感

さて、ここでこの文章につけられたイラストを見てください。

経済産業省の発注に連なる何重もの下請け構造

※グレーの「?」以下の企業にいたわたしからすると「いつもの当たり前の話」なのですが、住んでいる世界が違ったら見えるものも違うので、マウントを取るつもりはありません。

ここに連なる企業は派遣、請負、委託、準委任など好きな契約形態で責任の所在をうやむやにすることができます。

それぞれ、法的な責任の所在に特色があります。派遣には免許が要るため、今(2020年7月30日現在)は免許不要でほぼ同じことができる準委任に人気が集まっているようです。

わたしが見てきたいくつかの現場では「発注者が悪い」と上司らがぼやきつつ「どう言ったらこちらの責任ではないことにできるか」に腐心していました。

「理由が説明できるぐらいで責任逃れができるわけがない」と思うかもしれませんが、各々が契約形態に沿った言動を行うことで実現できます。誰も責任など取りたくないので、ひとしきり責任をなすりつけ合ってから「こうしていても仕方がない」と諦めて報告書を作り、善後策を定めます。「一番上の企業」が責任を取ってくれるので、下は責任を定めない方が都合が良いわけです。なので、成果を保証せずに済む「派遣」や「準委任」が好まれます。

「一番上」は責任を取るか?

いいえ、取りません。取る(訴えられる)のは愚かな企業です。取ることになりそうな話やもみ消せない関係者との話は、受けてはいけないのです。

これが、小泉竹中路線で発展した周到な責任転嫁システムです。小さな企業はヘタを踏まなければ安泰でしょう。

末端労働者ももちろん責任は問われません。その代わり、酷使されてボロボロになって棄てられた時に「自己責任」という責任を負わされます。

こうして書くと末端労働者だけが責任を負わされているように見えます。しかも個人的に、です。訴えることもできず、闇に溶けて行きます。

この「自己責任」の構造に気づいた時は恐れ戦きました。

上記から分かる通り、現場に近づけば近づくほど「無責任」になります。これで生産性など上がるはずもありません。単に言われたことだけをやれば責任を問われることはないからです。新しい技術は使われません。従って「イノベーション」も起こりません。

さすがは終わった国ニッポン! 人々は日の没する方角をぼけた顔で見つめながら、その先の大国の悪口をつぶやくことしかできません。

美しい国です。

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